コラム

人事労務部門の目標設定の必要性とコツ

2021.10.18  |  コラム 人事総務

人材を公正に評価・育成し、組織をより効率的に運営するために、多くの企業では各部門ごとに目標設定を行っています。

しかし、人事労務部門では、営業部門のように数値化して達成基準を設けるのが難しいために、目標設定がしにくいという声が多いのです。

では、一体どうすれば適切な目標を設定できるのでしょうか。

そこで今回は、なぜ人事労務部門では目標設定が難しいのか、目標設定する場合にはどのようなことに気をつけたらいいのかなど、具体的に解説していきます。

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1.人事労務部門の目標設定が難しいのはなぜ?

人事部門では、なぜ目標設定が難しいのでしょうか。その理由を紐解いていきます。

1-1.人事労務の具体的な仕事内容とは?

人事労務部門の仕事内容を今一度おさらいしておきましょう。

人事では、人材採用関連(計画・募集・採用・入退社手続き)、人事考課(異動・人事評価・昇進・昇格等)、人材育成・人員配置など「ヒト」に関わる内容です。

一方、労務管理は勤怠管理、給与・賞与計算、年末調整、保険関係、退職手続きなど、企業規定に基づいた事務的な業務を担っています。

また、業務の内容から、新入社員の入社する4月、夏・冬の賞与支払い時、年末調整の時期など1年を通じて煩雑さを避けられない時期もあります。

1-2.人事労務部門の特徴による課題

人事労務部門にはどのような課題があるのでしょうか。業務内容から特徴的な課題が見えてきます。

・定性的の仕事

人事部門は主に「ヒト」を対象としている業務です。

そのため、数値で表す定量的判断が難しく、定性的であることが要因と考えられえます。ヒトを相手とする業務は、それぞれの事象で異なる抽象的なことが多いもの。

誰にでも判断のつく数値化されたものではなく、結果を数字や数量で図ることができません。

労務部門においては、勤怠管理や給与計算など毎月ルーティンで行う業務も多く、直接企業の利益に結びつかない事務作業となるため、数値目標を立てるのが難しいといえます。

【事例】
・月末月初に勤怠管理で残業時間が増えてしまう
・給与計算で恒常的かつイレギュラーにミスが発生してしまう

・人手不足

前述したように、とにかく業務の幅が広い上、中小企業など企業規模によっては総務やその他部署と兼務している場合は少なくありません。

給与管理や勤怠管理などの業務は、煩雑でありながら〆切もあり、厳しいスケジュールの中で対応しなければなりません。

さらに、税制・法改正などがあれば都度対応が必要となります。限られた人員で対応することになるため、多くの時間と労力を要します。

【事例】
・経理と人事労務を兼任していてミスが発生してしまう

・退職者が出て人事労務担当者の負担が増えた

1-3.人事労務部門における目標設定の難しさとは?

企業は、組織をより効率的に運営するために、適切な人材を育てる必要があります。人材を公正に評価・育成していく上で効果的な方法の1つとして、目標設定を掲げています。

しかし、人事労務部門では、業務内容の特徴から数値目標を立てることが難しく、目標設定が容易ではありません。

企業において「ヒト」に関わる業務が多いこの部門では、営業部門のように具体的な目標設定や達成基準を設けるのが難しいのです。

2.人事労務部門の目標設定のポイント

では、人事労務部門ではどのように目標設定をしていけばいいのでしょうか。

2-1.まずは現状分析をする 

今現在、人事労務部門ではどのような業務を行っているのでしょうか。どのような課題を抱え、どこを改善する必要があるのでしょうか。

一度すべてを洗い出し、現状を把握する必要があります。現状を把握することで、効率化できる業務、必要のない業務、もう少し強化した方がよい業務など、改善点が見えてきます。

2-2.目標設定時のポイント

・可能な限り数値化する

人事労務部門の業務の中でも比較的数値化しやすく定量評価できる業務を探してみましょう。数値化は難しいと思っていた業務も、切り口を変えると数字に落とし込みができる可能性も。

数値化できれば目標も具体的になり達成するための行動に落とし込めるので、可能な限りチャレンジしてみましょう。

例)残業削減:年間〇〇円残業費削減、前年比〇%残業時間削減
業務処理時間の短縮:資料作成日数を前年比〇日短縮、ツール導入により作業時間〇%短縮など。

・部門全体の目標と関連するものへ

個人の目標は、部門全体・企業の方針へと結びついていることが大切です。本人の立場で個人的な目標を立てても、部門全体の目標、企業の方針と異なっていては意味を成しません。

目標設定の際には、必ず組織目標との関連を意識するようにしましょう。

・目標を細分化し具体的な目標を立てる

目標が大きすぎては達成する具体的なイメージがつかめず、モチベーションが下がってしまいます。

とはいえ、努力せず現状維持になってしまうような目標設定でも意味がありません。本人の能力より少し高いもの、努力すれば達成できる目標設定が望ましいでしょう。

また、目標の数が多すぎても注力すべき業務が分散し、成果が上がりません。重点項目を3~5項目に絞り、それに対する目標を細分化して具体的な目標に落とし込んでいきましょう。

優先順位を明確にし、可能な限り数値化すると達成速度が増します。

2-3.人事労務部門の目標設定をするメリット

・モチベーションアップ惰性で業務を行っているとモチベーションは保ちにくいものです。
幅広い業務で煩雑さが増すと、一体何のためにこの業務を行っているんだろうかとモチベーションが下がりがちに。

しかし、具体的な目標があることで行動に移しやすくなり、日々の業務にも意味を感じられます。

目標を達成した際には、従業員それぞれに達成感や満足感を得られ、仕事の成果もアップするでしょう。

【事例】
・チームと個人目標にモチベーションアップとなる項目を入れる
・他者に役に立っているような目標を入れる

・企業と従業員の信頼関係の構築

目標設定することにより、評価基準が生まれます。明確な評価基準があれば、目標達成度により自分が正当に評価される機会を得られます。

自分が「きちんと評価されている」と感じられれば、企業に対する信頼感や安心感が増し、企業と従業員の間によい関係性が構築できます。長期的な人材育成にも影響していくでしょう。

【事例】
・フィードバックする回数を月1から2回に増やす
・他部署も巻き込んでフィードバックする

・企業の業務効率アップにつながる

従業員のモチベーションがアップし、目標達成によるリターンを得られれば、さらに満足度も上がり、業務に好影響を与えることは間違いありません。

個々のスキルが向上し、業務効率にも影響すれば、当然企業の業績にも結びつきます。

人事労務部門のような定量化できない業務が多い部門こそ、評価を見える化できるような目標設定が重要な役割を果たすのです。

【事例】
・作業時間の〇%を削減する
・有給取得率〇%アップのために施策を〇つ実施する

3.人事労務部門の目標設定の具体例 

人事労務部門における具体的な目標設定の事例をご紹介します。

 3-1.人材育成

人材育成は、人事部門の重要な役割の一つです。

従業員たちの能力や個性を引き出して、強い組織へと導き、企業の利益を最大化させるために、人材教育・研究、組織開発など、新入社員から管理職までそれぞれのフェーズに適した目標を設ける必要があります。

・定量的な目標例

教育訓練への参加者数前年比〇%増
採用計画の達成度:前年比〇%増

・定性的な目標例

新しい人事制度の考案
企業規定の改定・導入
教育研修のマニュアル化

 3-2.労働環境の改善

人材という人的資源をより効果的に業務に活かすために、従業員の待遇や職場環境の見直し、福利厚生の充実などさまざまな側面から働きかけることができます。

特に労働環境の改善については、これまでの実態を数値化し分析した上で、目標数値を定めることが可能です。

・定量的な目標例

時間外労働削減:前年比〇%減
有給休暇の消化率:前年比〇%増

・定性的な目標例

就業規則の改定・見直し
雇用形態による格差をなくし、労働環境を整える

4.まとめ:「人事労務」に関する相談承ります

今回は、人事労務部門が抱える課題、そして目標設定の必要性やその方法について、具体的にご紹介しました。

人事労務部門の業務は前述したように定性的で幅広く煩雑になりがちで、課題が多いのも事実です。目標設定をして、自社内で業務効率を上げることもできますが、外部に業務を外注するアウトソーシングという手段を検討するのも一つの方法です。

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