コラム

バックオフィス担当者向けにコーポレートガバナンスの成功事例を3つ紹介

2021.05.08  |  コラム 総務

2020年から新型コロナウィルスが蔓延し、緊急事態宣言が行われ、働き方が大きく変わりました。在宅勤務が増え、個人情報の持ち出しが増えたことで、企業の不祥事件は増えたのでしょうか?

今回は、企業の「不適切会計」を切り口にコーポレートガバナンスの成功事例を3つ紹介します。

・コロナ後の不祥事件はどうなっている?
・コーポレートガバナンスとはそもそも何?
・コーポレートガバナンスの事例を知りたい

などといった悩みがある経営者や担当者の方がいたら、ぜひご一読いただければと思います。

また、すでにコーポレートガバナンスの構築体制を検討している方がおりましたら、neconoteがサポートいたしますので、サービスページからお問い合わせくださいませ。

 

1.コロナ不況後「不適切会計」の開示数はどう変化した?

引用:東京商工リサーチ「2020年全上場企業『不適切な会計・経理の開示企業』調査

2020年に東京商工リサーチが、自社開示、金融庁・東京証券取引所などの公表資料を基に、上場企業・有価証券報告書提出企業で「不適切な会計・経理」に影響が出た企業・今後影響が出る企業について集計を行った。

調査の結果、集計を開始した2008年以降、「不適切な会計・経理」を開示した上場企業は58社にのぼり、過去2番目に高い会社数を記録した。2020年4月、新型コロナウイルス感染拡大に伴う緊急事態宣言の影響で、テレワークなどの働き方改革を一気に推し進める企業が増え、

従業員がパソコンや機密情報を会社外に持ち出す機会が増えたため、不祥事件が増えると予想していましたが、逆に減るという結果になりました。

東京商工リサーチによると、会計監査を行う公認会計士の多くが、テレワークを行い、監査業務に遅れたが生じたために件数が遅れたのかもしれないと、見解を述べていた。

2021年以降においては、テレワーク状況下の対応を踏まえた監査業務が行われ、在宅勤務増加により、不適切会計の数が増えるかもしれない。

長く続く、コロナ不況による消費の冷え込みや、働き方の変化によって、企業ではより、コンプライアンスの遵守やコーポレートガバナンスの構築作りが重要になってくるかもしれない。

次の項では、コーポレートガバナンスとは何か、注目される背景についてお伝えします。

2.コーポレートガバナンスが注目される背景とは

young beautiful girl, sitting in the office began her work

コーポレートガバナンスという言葉が注目されるようになったのは、1990年代になってからです。1990年代以前は、経営者が株主や顧客の利益を重視した経営を行っているかどうか監視する仕組みは存在しませんでした。

強いて言うなら、債権者である銀行が企業に対して大きな影響を持っており、期日通り返済を行っていれば、一定の監査レベルが構築されていると判断されていたからです。

1990年代になると、バブル崩壊によって金融規制緩和が行われるようになり、「外国人投資家の株主」に変化が起きるようになりました。

これまでは、日本企業の株主全体に外国人株主が5%しかいませんでしたが、1990年代後半になると約30%が外国人で占められるようになりました。

株主3人に1人が外国人になったことで、株主の影響力が大きくなり、銀行とは違った視点で物言う人間が増え、コーポレートガバナンスが注目されるようになりました。

2010年代になると、カルロス・ゴーン事件が起き、有価証券報告書への報酬虚偽記載の容疑で逮捕されました。

カルロス・ゴーン氏は、経営陣の報酬額決定権を一任されており、自分の報酬額を自分で決めることができたため、株主が経営者に口を出せないような仕組みになっていました。

本来、株主は経営者に対する「規律付け」を行う存在であるのにもかかわらず、株主が何も言えない仕組みであれば、外部の人間が監視すべきであると言えるでしょう。

こういった観点からコーポレートガバナンスが重要だと言えます。

次の章では、これまで日本企業にはコーポレートガバナンスにどのうような成功・失敗事例があったのでしょうか?順に紹介していきます。

3.コーポレートガバナンスによる成功事例

まずは成功事例を紹介します。大企業を中心に紹介しますが、中小・ベンチャー・スタートアップのような企業でも重要だと言えるでしょう。

 3-1.花王:企業の在り方を示した「花王ウェイ」

花王は、2030年までにどのような企業でありたいか「花王ウェイ」を宣言しています。

目指すべき姿として「企業の持続的な成長を目指すためには、業績面だけでなく、非財務的な戦略・取り組み強化として、透明性のある経営を行うように伝えています。

コーポレートガバナンスは、目標達成を実現するための「ドライバー」になると考えており、規律として縛り付けるものでなく、相互作用としてお互いに補完していくという考えが評価されています。

また、3つの「ディフェンスライン」による「経営監査室」「品質保証・環境安全・危機管理・法務・コンプライアンス・会計財務」「現場各部門」を構築し、監査体制を強めています。

他には、子会社の監査体制(グループコーポレートガバナンス)について触れており、親会社が子会社にどこまで責任に追うのか、関係性についてジレンマがあると報告している。

現在抱えている課題も含めて、コーポレートガバナンス体制の構築方法について先進的な取り組みを行っていると言えるでしょう。

参考資料:経済産業省「花王のグループガバナンス

 3-2.みずほフィナンシャルグループ:指名委員会設置会社の設置

みずほフィナンシャルグループでは、銀行以外に証券会社や信託銀行を子会社として持っています。

みずほフィナンシャルグループがかかげる基本理念やあるべき姿として、世界中のお客様から信頼を得るといったことを掲げており、その実現のために、信頼・スピード・チームワークを重視しています。

それらを実現するためにコーポレートガバナンスとして「指名委員会等設置会社」の監査体制を採用しています。

指名委員会等設置会社とは、経営の監督と業務執行を分け、指名委員会や報酬員会、監査委員会の3委員会を設置することで、外部の人間が監査します。

各委員会の委員の過半数は社外取締役でないといけないため、独立性が求められます。

また、アメリカ型のコーポレートガバナンスの体制に近いため、外国からの信頼が得られやすいという特徴があります。

透明性のある経営を目指すことで、日本だけでなく外国にいる投資家やお客様から信頼を得るための監査体制を構築していると言えるでしょう。

参考資料:みずほフィナンシャルグループ「コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方

 3-3.ライオン株式会社「長期目標とコーポレートガバナンス」

3つ目は、2020年に日本取締役協会が発表した「コーポレートガバナンス・オブ・ザ・イヤー2020」で「東京都知事賞」を受賞したライオン株式会社です。

コーポレートガバナンスの体制が評価されただけでなく、環境配慮や、働き方改革などの取り組みが評価されたようです。

ライオンは、長期環境目標『LION Eco Challenge2050』を策定し、以下のチャレンジを掲げました。

・2050年までに事業所活動におけるCO2排出量ゼロを目指す
・2050年までにライフサイクルにおけるCO2排出量半減を目指す
・2050年までにプラスチックの高度な資源循環を目指す
・2050年までに持続可能な水使用を目指す

これらの目標を達成するために監督機能の強化と経営判断のスピードアップを行いつつも、コンプライアンス強化を目指しているようです。

やはり、形式的にコーポレートガバナンスの体制を構築するのでなく、目標に対してどのように監査体制が敷かれているのか、明確な企業が成功していると言えるでしょう。

参考資料:ライオン株式会社「コーポレート・ガバナンスに関する基本的な考え方

4.まとめ:「コーポレートガバナンス」に関する相談を承ります

今回は、コーポレートガバナンスにおける具体例を紹介しました。コロナ不況もあり、コーポレートガバナンスについて改めて見直す企業が増えてくるはずです。

成功事例として評価されている企業は、企業が掲げる目標の中で、しっかりとコーポレートガバナンス体制を組み込んでいます。

neconoteでは、企業に対して、経営目標の設定からコーポレートガバナンスの構築体制まで幅広くサービスを提供しています。

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