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コーポレートガバナンス(企業統治)とは?3つのポイントに注目して解説

2021.04.27  |  コラム 総務

時には、役員の手によって不祥事が起きてしまったり、長期的な企業価値向上に向かっていないときもあります。そのような場合に、コーポレートガバナンス(企業統治)のような仕組みがあると、外部の目で経営を監視し、不祥事件などを防ぎやすくなります。

最近では、カルロス・ゴーン事件のようにコーポレートガバナンス(企業統治)が実質的に機能しておらず、経営者のほぼ独断で報酬額が決められていたということもあります。

今後は、様々な国や業界の経営者が代表権を握る機会が増える可能性があるため、コーポレートガバナンスとは何か基本的な部分を理解しておくと、会社経営がスムーズになるかもしれません。

今回は、コーポレートガバナンス(企業統治)とはなにか、カルロス・ゴーン事件を例にして、解説していきます。

 

1.カルロス・ゴーン事件はコーポレートガバナンスの脆弱性から生まれた?

2018年11月に日産のカルロス・ゴーン氏が有価証券報告書への報酬虚偽記載の容疑で逮捕されました。カルロス・ゴーン氏は、経営陣の報酬額決定権を一任されており、自分の報酬額を自分で決めることができる状態でした。

また、カルロス・ゴーン氏は、ルノーのトップを兼任しており、ルノーは日産の株式の半数近くを保有する筆頭株主でした。

したがって、カルロス・ゴーン氏は、日産の再建に大きく貢献したものの、利益が出せなくなったら報酬額が下がるという「危機感」がないまま経営を行っていたようです。

日産のように企業の統治機構(コーポレートガバナンス)がしっかり機能していなかったため、今回のような事件が起きてしまいました。会社の規模が大きくなればなるほど、経営陣を監視できるような社内体制が重要であると言えます。

次の章では、カルロス・ゴーン事件を例にそもそもコーポレートガバナンスとは何か紹介します。

2.コーポレートガバナンスの3つのポイント

コーポレートガバナンスの目的は、経営陣を監視し、透明性のある会社経営を行うことです。株主総会で経営陣が選任されるとはいえ、企業統治体制を構築し、企業価値や株主への利益を還元することが会社経営では大事です。

ここではコーポレートガバナンスの3つのポイントを紹介しながら、目的について説明します。

 2-1.監査体制

ガバナンスを構築するうえで重要なのは体制の構築です。

監査体制は、株主総会・取締役会・経営会議・各業務部門の中で選任・指示を行い、外に内部監査室・監査役会・会計監査人を置くことで構成されます。

株主総会:役員などの選任・解任をすることで経営をコントロール
取締役会:経営に関する重要事項の決定をする
経営会議:経営陣と各部門の代表者が話し合い、議論や決定を行う
内部監査室:組織の内部の人間が監査を行う
監査役会:社外取締役をいれるなどして監査を行う

各会社によって監査体制は異なりますが、多くは上記のケースとなります。強固な体制を構築し、お互いに監査しあうことで不正を防ぎます。

日本では、2000年代初頭からコーポレートガバナンスの重要性が議論されるようになりましたが、先進諸国に比べると遅れを取っているような状況です。

形式的なコーポレートガバナンスになっている会社が多く「攻めのコーポレートガバナンス」が構築されることが望まれています。

 2-2.報酬額の決め方

コーポレートガバナンスを形成するうえで、2つ目に重要なのは「役員報酬」です。カルロス・ゴーン事件では、取締役に報酬額を決定する権限が一任されていました。カルロス・ゴーンは自分で報酬額を決めることができてしまったため、

経営者としての危機感がなかったために事件が起きてしまったとも言われています。経営辞任に適切な報酬額が支払われるためにはどうすればよいのでしょうか?

・説明方法の見直し

株主総会の場で、企業経営の透明性や、経営陣による経営に対する説明が重要です。たとえ、経営者であっても上位役員の部下として扱われているという意識付けが重要です。

また、形式的な株主総会でなく、情報の透明性を担保するような場を作り上げるべきだと言えるでしょう。

・報酬委員会の設置

報酬員会とは、経営陣の報酬にかかる手続きの透明性を確保するための組織です。過度な報酬とならないように適切な管理体制となっているか、各役員の報酬とパフォーマンスが妥当なものであるか、監査します。

また、経営陣の勤労意欲を高めるためのインセンティブ制度もあるかどうかも大切であり、幅広い観点からの統治体制が求められます。

 2-3.選任方法

役員の選任方法は、指名委員会を設置して、代表取締役、取締役、監査役の指名について審議させ、決定します。指名移管会は、過半数は社外取締役で構成されており、経営の監督者と業務執行部門とは切り離されているので、ある程度のチェック体制が保たれます。

ただし、社外取締役の人材確保が難しかったり、経営陣の進退などが社外取締役に委ねられる部分もあるため、帰属意識がそがれる場合もあります。

あくまでも会社の文化になじむような形で会社役員が選任されるような仕組み作りが大切であると言えます。

3.スタートアップや中小企業にもコーポレートガバナンスが必要である理由

ここまでは大企業向けのコーポレートガバナンスについてお伝えしましたが、スタートアップや中小企業でも導入しているケースもあります。

社会的信用を得るためにコーポレートガバナンスを導入することで会社経営の透明性を担保することで、様々なステークホルダーにアピールすることができます。

スタートアップや中小企業では、経営者が株主であるケースが多いため、経営者の独断で会社が暴走してしまった場合に、仲介役になれる場合もあります。

過剰なリスクを取って経営を行わないように会社経営全体でガバナンス機能を高めていくことが重要です。

また、スタートアップや中小企業では、従業員にコーポレートガバナンスの考えを浸透させることも大切です。

営業部門やマーケティング部門、経理部門が正しく業務を行っているか牽制することで、会社全体でコーポレートガバナンスを構築していきましょう。

コーポレートガバナンスを考えることは、社員全員が当事者意識をもって働くことに繋がるかもしれません。

4.まとめ:「コーポレートガバナンス」に関する相談を承ります

今回は、コーポレートガバナンス(企業統治)とは何か解説しました。経営陣がしっかりと責務を果たすような状態を作るためには、体制作りが重要だと言えるでしょう。

とはいえ、コーポレートガバナンス体制の構築には、監査委員会、内部監査室、コンプライアンス委員会など様々な部門を作る必要があります。

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