コラム

攻めの総務こそ戦略的!重要な理由と3つの役割を解説

2020.06.26  |  コラム 総務

戦略的総務部へ改革

「戦略総務」という言葉を聞いたことはありますでしょうか?

会社の総務部といえば、従業員が気持ちよく働けるように様々な部署をサポートするといとうイメージが強いかもしれません。

しかし、昨今の日本では、総務部がルーティン業務をこなすだけでなく、会社全体の課題を戦略的に解決していくという「攻め」の業務を行なうことが求められるようになってきています。

今回は、戦略総務の意味、なぜ日本で戦略総務の考え方が必要になってきているのか、戦略総務に求められる役割や改革の事例について紹介したいと思います。

 

1.戦略総務とは

「戦略総務」の言葉は2018年ごろから「月刊総務」と言う総務部門の専門誌で使われるようになりました。そもそもの戦略総務の意味について、一般的なイメージを踏まえて紹介します。

 1.1一般的な総務部のイメージ

一般的な総務部の仕事は、会社側の方針や意図を社員に伝えつつ、社員が気持ちよく働けるような環境作りを行ないます。

具体的には、社内イベントの周知、消耗品や備品の受発注、株主総会に関する配布資料の作成、会社によっては社内報や社外向け文書の作成など、様々な定型業務を行います。

幅広く業務を行うため、社内では「なんでも屋」といったようなイメージがあり、評価されにくい部署という会社もあるようです。また、評価されにくいがゆえにモチベーションが低く、改革といったことに消極的な従業員もいます。

 1.2能動的に会社の課題を解決する

戦略的総務とは、定型化した業務を「受動的」に行う従来の総務とは異なり、会社の課題を的確に分析し、業務の効率化や社内の環境改善について「能動的」に提案する総務の姿のことを言います。

総務部は、「なんでも屋」と言うこともあり、経営陣や他部署と関わる機会が多く、会社を改革するためのキーマンとなりうる可能性も秘めています。

2.日本で「戦略総務」が必要になる理由

戦略総務を行うための話し合い

日本では、働き方改革の推進、コロナウィルス対策による業務効率化の流れもあって会社を改革するためのチャンスでもあります。戦略総務の考え方が必要になる理由について紹介します。

 2-1.人手不足が深刻化するため

日本の人口は、総務省統計局によれば、2008年に1億2,808万人をピークに減少に転じております。将来の人口については2027年には7,000万人を下回り、2051年には5,000万人をも下回る予定です。

人手不足になると様々な問題が発生します。

まずは、今働いている人への負担が増加します。例えば、5人でやる業務を3人でやるとなると、一人一人への仕事量の負担は大きくなります。残業や休日出勤を行なう場合も出てくるかもしれません。

また、残業代などで人件費が増えた分、さらに業績を上げる必要が出てくるため、悪循環に陥ってしまいます。さらには、業務負担が増えれば業務量の多さに嫌気がさした従業員が退職してしまう可能性も出てきます。

 2-2.生産性改善の余地があるため

2つ目の日本の課題は「生産性の悪さ」です。日本生産性本部が2019年12月に発表した「労働生産性の国際比較 2019」では、調査記録が残る1970年以降、先進7カ国(G7)諸国で最下位になっています。

1980年代は日本の製造業が好調で「経済大国」と言われていましたが、その時の時間で止まっているのかもしれません。

日本の生産性が低い理由には、残業ありきの習慣、時間ありきでの給与体系、チームで働くことの弊害などが挙げられます。

生産性が著しく低いということは、それだけ改善できる幅も大きいということです。日本人の良いところも残しつつ、その会社にあった業務効率化を行なうことが大切です。

また、コロナウィルスの対策の一環でリモートワークの導入も一気に進んでいるので、社内の業務フローや効率化など、様々な面で改革しやすい流れにもなっています。

コロナ不況で景気が停滞していますが、これを機に改革を進めてみるのも良いでしょう。

3.戦略総務が担う3つの役割

総務のオフィス

実際に総務部が戦略的な部署になるためにどのような役割を担えばよいのでしょうか。3つの役割について紹介します。

 3-1.コスト削減ー書類管理の電子化

戦略総務ですぐに思い浮かぶのは「コスト削減」ではないでしょうか?紙の書類から電子管理することでコスト削減する事例を紹介します。

総務では、消耗品や備品を購入する際に必要な受発注の書類、社内イベントの案内、株主総会の資料まで幅広く管理します。会社によっては、経理や人事労務を兼任しているため、請求書や領収書、人事規定や雇用保険書類などの書類を取り扱う場合もあります。

総務だけでなく、全社的にも書類の電子管理を進めることは、様々なメリットが存在します。

  3-1-1.紙や保管コストの削減

あらゆる書類に言えることですが、紙で管理する場合、用紙、インク、プリンターの維持費、書類を管理するスペースが必要になってきます。

電子化することで費用面であらゆるコストが削減でき、空いたスペースも有効活用することができるので一石二鳥となります。

  3-1-2.書類の紛失を防げる

顧客情報の管理が厳しくなっている中、重要書類の紛失は大問題に繋がります。毎日の業務で膨大な紙の書類を取り扱っていると、いつ失くすのか心配になるものです。

電子管理であれば、いつ誰が閲覧してデータを移動させたのかの把握しやすいため、紛失のリスクを減らすことができます。

  3-1-3.書類を探すのが楽になる

しばらく使わない資料に関しては、別の倉庫に保管しておくことが多いと思いますが、担当者が変わって重要書類をどこに保管したか分からなくなる場合もあります。

探すことに多くの時間を費やす可能性も出てきますが、電子化することでキーワードを入力するだけで検索することができれば、書類を探す時間が減らせるはずです。

書類を電子管理するメリットを紹介しましたが、まずは総務部の書類を電子化して、そこでの実績を元に他部署の書類も電子化していくと、会社全体の業務効率化に繋がるのではないでしょうか。

 3-2.社内環境の改善

総務部は、物品の購入やオフィス環境の改善、福利厚生の運用、健康管理といった「従業員が働きやすい環境づくり」も行います。従業員の声を拾いやすいと言う特徴があり、それを社内改革に生かせると良いです。

社内環境の整備においてインパクトの大きかった事例の1つに「リモートワーク実施による離職率の低下」があります。

スタンフォード大学のニコラス・ブルーム教授ら大手ネット旅行サービス「Ctrip」と共同で行った2年間に渡るリモートワークの生産性調査によると、リモートワークの実施で13%の生産性が上がり、離職率が50%も下がったという結果もあります。

リモートワークの実施には、業種や職種などによって実践が難しい場合もあるかもしれません。しかしながら、離職率を減らすということは、採用や教育コストにかかわるコスト削減にもつながり、会社の利益改善には欠かせない要素です。

 3-3.社内の調整業務

社内外のコミュニケーションを円滑に進める調整役も総務部は担います。具体的には、業務内容の違いから、部署間の連携がうまく取れない場合に社内調整役として立ち回る場合もあります。

ここでは、社内コミュニケーション活性化のための具体的な事例として「ビジネスチャットツール」を紹介します。

  3-3-1.社内コミュニケーションの課題

HRproが2019年に発表した、社内コミュニケーションに関するアンケート「【HR総研】社内コミュニケーションに関する調査」では、企業の約70%が「社内コミュニケーションに課題がある」と答えています。

【HR総研】社内コミュニケーションに関する調査

出典:HRpro「【HR総研】社内コミュニケーションに関する調査」

また、アンケートの中では具体的な課題点として以下のようなことが挙げられています。

・部署をまたいだ情報共有ができていない
・口頭で伝えるので、メンバー間の情報格差が激しい
・経営陣や管理職と社員のコミュニケーションがうまく取れていない

部署間だけでなく経営陣や管理職とのコミュニケーションがうまくいっていないことは、会社全体で対応すべき課題でもあります。

社内コミュニケーションの活性化は、生産性向上、業務効率化、コスト削減などあらゆる面でメリットを享受することができるでしょう。

  3-3-2.ビジネスチャットツールのメリット

社内の情報伝達は、メールなどで行なう会社がこれまでは多かったのですが、スマートフォンやLINEなどの普及もあり、ビジネスチャットが利用されるようになりました。

ビジネスチャットは、メールと違って宛先、件名、挨拶、署名などを入力する必要がなく、気軽であったり、LINEのような間隔で使うことができ、ビジネスマナーのわずらわしさが減ります。

ビジネスチャットを使うことで「メールを打つまでもない、ちょっとしたこと」を聞きやすくなるので、業務上のちょっとした分からないことでも、部署をまたいで聞きやすくなるかもしれません。

また、ビジネスチャットを使うことで、あまり接することがない経営陣や管理職に対して、普段言いにくいことが伝えやすくなったという事例もあります。

ビジネスチャットは、ルール整備が必要ですが比較的低コストで行なえるため、一番最初に行う改革としてはおすすめです。

 3-3-3.テレビ会議実施時の工夫の仕方

ビジネスチャット以外のWeb会議実施時の工夫も紹介します。テレワークを実施するとなるとビジネスチャットとテレビ会議の両方を使うケースがほとんどですので、併せて抑えておきましょう。

月間総務では、Web会議をうまくやるコツとして以下の方法を挙げています。

①役割を決める…あいまいな部分は必ず確認をする
②アジェンダや終了時間を決めておく…通常の会議と何ら変わらないように準備する
③わかりやすい言葉を使う…相手に合わせて専門用語を使わなかったり意識する
④反応をする…相槌もオーバーリアクション気味に行わないと伝わらない
⑤効果的な画面共有の活用…参加者が傍観者とならないように一体感を持たせる
⑥気遣いと心のゆとり…発言・意見が少なくても、自分の考えを持っていないからだと決めつけない

基本的なコミュニケーションを徹底することにつきますので、普段から意識すると良いでしょう。

4.戦略的総務部になるためには

戦略

戦略的総務の役割と実際の例などを紹介していきましたが、日々の業務ではどのようなことに気を付けて進めていけばよいのでしょうか。

 4-1.より優先順位の高い仕事を行う

総務では日々様々な業務に取り組むため、「本当にやるべき仕事」と「やらなければいけない仕事」で優先順位をつけられないまま、業務をこなしていく傾向があると言われています。

総務部が戦略的総務になるためには、まずは部署内のタスクを整理し、全体的な目線でどこにクリティカルな課題があるのか優先順位をつけることが重要です。

業務の難易度や時間、固定業務や突発業務などで一つ一つ分けていくことで「優先的にやらなければいけない仕事」を見つけやすくなります。業務の細分化に関しては下記の記事に詳細があるので参考にしてみてください。

 4-2.アウトソーシングで外部の知見を取り入れる

総務部から会社全体を改革すると言っても何をすればよいかわからなかったり、総務部の力それほどなく、改革するのが難しい……と感じる方もいるかもしれません。

そんな時は、アウトソーシングを使って、外部の知見を積極的に取り入れることも1つの手です。例えば、社内文書の管理、請求処理や給与計算などの固定業務、オフィス移転に伴う引っ越し、物品購入などの業務まで、外部に任せてしまうのも良いでしょう。

日々の業務の負担が減ることで、分析の時間に多く割くことができるので、課題の抽出がしやすくなるのではないでしょうか。

また、外部の総務に特化したコンサルタントを入れることで、業務の進め方、業務を支えるオフィス環境まで、そもそもの会社の課題を抽出するところから支援してもらうのもよいでしょう。

5.「戦略総務」は想像以上に大変

今回は、戦略的総務の意味、日本に戦略的総務の考え方が必要な理由、具体的な事例について紹介しました。

総務部の業務範囲を超えて、会社全体の課題にアプローチする点についても紹介させていただきましたが、それだけ総務部は会社の中で重要なポジションであるということです。

ただ、実際に業務を改革していくためには、他部署の人を上手に巻き込んだり、思うように時間が割けなかったりなど、想像以上に大変です。周囲の理解が得られず、苦しい局面に立たされる時もあるはずです。

そんな時はまずは、比較的低コストで行なえる業務改革化ツールの導入や、アウトソーシングを使って外部から知見を学びつつ、依頼していくやり方が良いでしょう。

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