コーポレートガバナンス機能を高める3つのポイントとは?成功事例も紹介
コーポレートガバナンス(企業統治)とは企業内で規律を定めて監督し、経営の健全性を確保し、企業価値の向上を目指すものですが、その体制の構築、実効性の検証等、各段階でさまざまな課題が生じます。
そこで今回は、コーポレートガバナンスにおける課題を取り上げ、その対処法をご紹介していきます。
併せて、コーポレートガバナンスの課題解決に必要な実効性を高めるためのポイントもご紹介します。
また、コーポレートガバナンスの構築・課題を検討しておられる方には、neconoteがサポートいたしますので、サービスページからお問い合わせください。
目次
1.自社のガバナンスの課題を見極める
コーポレートガバナンスに取り組む際には、人材・体制構築・ルール遵守・監督機能・情報開示等の局面でさまざまな課題が生じます。どんなものか見ていきましょう。
1-1.人材不足・体制構築・ルール遵守等の課題
コーポレートガバナンスの実践においては、主に次のような課題が挙げられます。
・社外役員の不足
社外役員の不足、これは社外取締役や監査役に必要な専門知識や経験を持つ人材が足りず、選任出来ない
・ガバナンスの体制構築が難しい
ガバナンスの体制構築が難しい、というのはガバナンスに詳しい人材がいない、利益向上につながらない
・コーポレートガバナンス・コードの取り込みが難しい
コーポレートガバナンス・コードの取り込みが難しい、というのは、企業が遵守する原則「コーポレートガバナンス・コード」と自社制度との隔たりがあり、具体的な取り組みとしてどう取り込むかが難しいという課題です。
これら3つの課題は改善していくのが難しいとも言えます。継続的な取り組みが必要だと言えます。
1-2.監督機能を強化しにくいという課題
コーポレートガバナンス実現の過程では、取締役会の執行と監督の役割を分離させないと緊張感が不足し、監督機能を強化しにくいという課題が生じます。
そのため、独立社外取締役と共に取締役会で経営執行の成果を評価し、経営陣の人事にも反映するガバナンスの「モニタリングモデル」を目指すことも必要です。
同時に監督項目として注視・強化したいのが、資本調達のコスト、企業価値向上、サステナビリティ(持続可能性)実現への施策です。
そのためには、スキルを持った独立社外取締役の選任と、専任過程を経営陣から独立させることが重要になります。
併せて、長期のスパンでは、独立社外取締役を適切に確保し続ける仕組みである「ボード・サクセッション」も維持していくことが必要です。
参考:
1-3 情報開示が形式的になりがちな課題
コーポレートガバナンスを向上するには、投資家との建設的な対話と意見の有効活用が有効です。その準備には、充実した情報と分析の開示が必要です。
ただ、開示する有価証券報告書は、要求事項をまとめるのに気を取られると形式的になりがちです。そうではなく、今後の経営戦略や展望、リスクや課題をまとめた文書として、より充実させなければなりません。
というのも、長期投資家は有価証券報告書をもとに企業の経営状況を分析するので、その投資家と対話をすることで、意見や知見などを得て経営戦略に活かすことが大切なのです。
開示内容を充実するには、経営会議や取締役会の議論を集約し、経営者がトップダウンにより早い段階で開示方針を示し、今後の経営戦略や展望、リスクや課題を盛り込むことが大切です。
2.ガバナンスの形式化を避けて強化する対処法
ガバナンスを強化するには、取締役会の実効性・社外取締役・デジタル化等を組み込んだ対処法があります。
2-1.取締役会に不足しがちな実効性を強化して発信する方法
取締役会の役割には、経験・知見・専門性など多様性のある参加者の議論によって、企業価値向上のための最善の意思決定と監督機能を実現するというものがあります。
そのための仕組み・手続・議論・意思決定で目指す成果を出せるのかが、取締役会の実効性といえます。
実効性を高めるには、問題を可視化し、取締役会で共通認識を醸成し、段階的に改善していくことが必要です。その際、インタビューやアンケートによる取締役会の実効性評価というスキームが有効です。
取締役会の実効性評価は、取締役会が取り組む課題や現状の確認、その解決策や成果を確認する形でまとめます。これは取締役会によるセルフレビューと、PDCAが機能している実効性を示す有効な手段といえます。
さらに、実効性評価の内容と改善の姿勢などを発信することで、投資家の信頼も得られるようにすることも大切です。
2-2.組織作りと運用を強化する社外取締役の起用
ガバナンスの改革を進める企業の中には、その対応に難航しているところも多く、形式的な対応に終始しているところも見受けられます。
他にも、取締役会の実効性評価や CEO の人選等において、経営改革よりも法規制対応に傾倒しすぎるところも多いようです。
あるいは、社外監査役を社外取締役に選任したところ、それぞれの資質の違いから人材を活かしきれず、取締役会が空回りしてしまうこともありがちです。
こうした課題に対し、会社の意思決定は社内人材を中心とした経営陣で行い、社内人材では適正に評価しにくい事項を社外取締役で監督するように役割分担することが必要です。
2-3.デジタルシフトも見据えてガバナンスの戦略転換をスピードアップ
景気は今後数年間も先行き不透明なので、金銭的な株主還元策よりも、取締役会の監視機能を強化して公正さを担保し、同時にデジタルシフトに向けて経営体制を整えるのが得策という見方もあります。
消費者接点を早々にデジタル化し、サービスを成長させ、デジタル経済の価値創出を先取りすることも、企業価値や生産性を上げる方法の一つと言われています。
今からガバナンス改革を進め、株主との対話・厳しい指摘・外圧を改善の施策に活かし、PDCAサイクルを回してガバナンスを強化することが望まれます。
併せてデジタルシフトを進め、自社のガバナンス戦略転換をスピードアップさせたり、業界再編に取り組んだりして、企業価値や生産性の向上を図るのが得策です。
3.実効性を失いがちなガバナンス機能を高めるポイント
ガバナンスの実効性を高めるには、次に示すような、意識づけ・優先する目的の見極め・企業風土に合わせる等のポイントを押さえることが必要です。
3-1.形式にとらわれ過ぎず実効性を持たせる意識づけ
コーポレートガバナンス・コードという、東京証券取引所により公表されたガバナンスのガイドラインとして参照すべき原則・指針があります。
これを参照して自社のガバナンスを整備する場合、ともすると「形式」の整備にとらわれがちになります。そうではなく、「実効性」を伴ったものに作り上げることが重要です。また、この点について、株主・投資家の理解を得ることも必要です。
取締役の構成についても「形式」にとらわれず、自社の事情に応じつつ、
・社外取締役比率は3分の1以上を目安にする
・社外取締役選定は形式的にせず監督面などで実効性を図る
と、実効性を持つように意識することが大切です。
また、女性の活躍を推進し、キャリアアップ支援の環境を整備することも、ガバナンスの実効性・企業価値の向上には有効です。
3-2.自社の優先する目的を見極めて施策を実行する際のポイント
ガバナンスのあり方は企業それぞれですが、効率性や健全性等、優先する目的を見失わないようにするのがポイントです。
数多くの企業が、企業価値向上のために、不祥事の予防、健全性の確保といった目的を意識し、競争力の強化、効率性向上の面からも、取締役会の活性化、監督と執行の分離、監査環境の整備、社外取締役の知見の活用等、執行と経営を監督する上での実効性を高める施策を実行しています。
実効性や健全性向上の目的を優先するならば、そのポイントは、取締役相互の監視、取締役会による内部の監視、内部監査を実行することです。
また、社外監査役による社内会議や経営状況のチェック等を通じて、経営者をチェックする体制を構築することも重要なポイントになります。
3-3.企業風土にあったガバナンスを開発しエクスプレインすることとは?
企業風土に合ったコーポレートガバナンスを開発して公正な経営を行い、経営の健全性や実効性を株主にエクスプレイン(アピール)すると、株主からの厚い信頼を得られるようになります。
株主からの信頼が得られると、株主総会の運営や資金調達など、会社経営が円滑になります。
併せて、株主総会で取締役が解任されるリスクも減れば、思い切った経営判断とさらなる業績拡大への道が拓けてきます。
さらに、コーポレートガバナンスが堅実な会社は、外部のステークホルダーからも信頼を得られるようになります。ステークホルダーの協力も企業経営に活かすと、生産性や業績・企業価値の向上・企業規模の拡大も可能になってくるでしょう。
4.まとめ:「コーポレートガバナンス」に関するご相談を承ります
今回は、コーポレートガバナンスにおける人材不足・体制構築・ルール遵守・監督機能・情報開示等にまつわる課題をご紹介しました。
これらの課題については、取締役会の実効性評価・社外取締役での監督・改善過程とデジタル化を合わせた迅速化等の対処法があります。
さらに、実効性を上げるためのポイントとして、社外取締役や女性の起用などの実効性を高める意識づけ・取締役相互の監視・取締役会による内部の監視・経営の健全性のアピールなどもご紹介しました。
これらが、コーポレートガバナンス構築の参考になれば幸いです。
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