BPOとは?メリットや対象業務、業者選びのポイントを簡単に解説
・業務効率化を図って新しい事業に資源を使いたい
・コスト削減を行ない利益率を改善したい
・セキュリティ対策が不安なので強化したい
BPOはアウトソーシングの1つですが、上記の課題を解決するために戦略的に実施するアウトソーシングです。
多くの企業がBPOを利用しますが、期待した効果を得られないということも少なくありません。今回の記事では、BPOの概要から具体的な対象業務、業者選びのポイントなどを初心者向けに解説します。
目次
1.BPOとは、業務を委託をし「経営資源の集中」を行うこと
BPOとは、ビジネスプロセスアウトソーシング(Business Process Outsourcing)のことで、人事・総務・経理といったバックオフィス業務や、自社には運用ノウハウがない業務を、外部の事業者に委託することを言います。
通常の業務代行や人材派遣とは異なり、利益に直結しにくいバックオフィス業務を経営戦略の一つとして、アウトソーシングするのが特徴です。
BPOを使うことで、利益に直結しにくいバックオフィス業務を、外部の事業者に委託すれば、人材や経営資源をコア業務に投下しやすくなります。
2.BPOが広まった背景には「企業の人材不足」がある
BPOが注目されるようになった背景には、「企業の人材不足」があります。
業務量が一定で、人の数が減れば、一人当たりの業務量は増え、業務の質が低下してしまい、ミスを招く恐れがあります。
この問題を解決するためには、継続的な人材確保が必要ですが、少子高齢化による労働人口の減少により、スタートアップや中小企業では、満足のいく採用ができていないのが現状です。
また、BPOの市場は年々大きくなっており、2017年の国内BPOサービス市場は7,346億円、2017~2022年までは年間平均成長率約3.5%で成長するといわれています。
引用:
3.知っておきたいBPOのメリット
冒頭部分では、BPOのメリットとして「経営資源の集中」を紹介しましたが、それ以外のメリットもあらためて解説します。
3-1.業務効率化とコスト削減
BPOを通じて業務効率化させることで、時間や経済的なコスト削除が可能です。
例えば、過剰在庫が発生してしまったり、必要以上に人を雇ってしまったりしたとします。これでは、せっかく得た利益が有効活用されておらず、お金が無駄になってしまいます。
これらの無駄を省くことで、利益の損失を減らすことができます。結果的にも従業員の給料にも還元しやすくなるため、企業全体の質向上につながるでしょう。
3-2.自社にないノウハウの習得
専門性が高く、様々な手法が絶えず進化している分野の業務を外注することで、専門家の知見やノウハウを取り入れられます。
例えば、社員向けの研修は、多くの専門会社が存在しており、各事業者は、それぞれの目的に適合させるためにより良い手法を開発し競争しています。
したがって、自社で行うよりも品質の高いノウハウを習得することができ、内製化をする上でも役に立つでしょう。
3-3.労働時間の短縮
BPOでは業務の一部を外部の事業者に外注するため、労働時間の短縮につながります。
労働時間が短くなると、体力が残っているうちに仕事を終えることができます。集中力を維持しやすくなるため、効率よく業務を進めることができます。また、疲労を回復させる時間、育児や介護の時間を取れるようになり、ワークライフバランスの両立がさせやすくなります。
ZOZOのように1日6時間労働を採用し、イメージアップを図っている企業も存在します。
3-4.セキュリティリスクを最小限に抑えられる
近年では、情報セキュリティへの意識が高まっているため、個人情報の取り扱いには最新の注意をはらわなければいけません。セキュリティ対策を業務の中で行うためには、業務プロセスの見直し、システムの導入、社員教育など多くのリソースを割かなければいけません。
BPOの事業者には、個人情報の取り扱いを厳格に行えると認められたISMSやプライバシーマークの認証を取得しているところが多いです。
そのため、個人情報をとり扱うコールセンターなどの構築・運用を丸ごと任せることができて、情報漏洩へのリスクを減らせます。
4.BPOサービスの対象業務と活用例
4-1.経理
経理は、最低限の簿記の知識が必要で、見積書などの細かい書類も、金額だけでなく発行日などを一字一句確認し、ミスがあれば修正を行います。もし万が一ミスに気づかなかった場合、国税局の監査による指摘を受ける事態にまで発展するほど大きな問題になりやすいです。
経理のBPOでは、売り上げ、仕入れ、経費精算、決算業務の経理全般などの面倒な業務を代わりに処理してもらえます。また、法律改正のたびに知識を習得する必要がなく、経理担当者の人員増減を気にする必要もありません。
スタートアップやベンチャー企業のように十分な知識を持った経理担当者がいない場合にも役立つでしょう。
4-2.総務
総務のBPOでは、名刺・封筒の印刷、転勤引越しの手配、社内相談窓口、郵送・受取、総合受付などの固定業務から、オフィス移転、空間設計、コスト削減のコンサルティングなど幅広い業務を対象としています。
ここでは業務の1つ「事務用品の手配」を例に説明します。
一般的な流れは、社内の各部署から、購入品を取りまとめ、発注し、検品されたら確認、部署へ届けます。手間がかかる業務であるため、効率を上げるために納入業者への発注は週一回となり、納品まで一週間ほどかかることもあります。
BPOでは人員が代行してくれたり、発注システムの導入の提案を行なってくれます。発注システムを使うと、各部署の担当者が直接ウェブ上から発注を行い、自動で注文がかかり、2〜3翌営業日には商品が届くので、総務の負担を大きく減らすことができます。
4-3.コールセンター
コールセンターのBPOには、大きく分けてインバウンドとアウトバウンドに分けられます。
インバウンドでは、電話窓口対応、予約注文対応、お客様相談窓口などが該当します。スタートアップや電話対応できる人が少ない企業に多く導入されています。
電話窓口対応では、会社に掛かってくる全ての電話に、一次対応を依頼してくれます。その後のメールやチャットで担当者に連絡が入り、折り返しの電話を行います。
営業電話などをコールセンターで全て弾いてくれるので、それだけでも電話に出る労力を減らすことができるでしょう。
4-4.人材採用
コロナウィルスが蔓延するまでは、売り手市場で応募者が企業を選ぶ流れとなっていたため、効率的な採用業務が求められていました。
このような状況の中で、募集から内定までの一連の採用業務(就職サイトの運用、説明会などの準備、面接の段取り、内定通知)を代行するBPOを使うことで、企業の担当者は、より良い人材を獲得する業務に集中することができます。
また、給与計算や労務管理などの業務を行うこともでき、ルーティン業務を減らすことも出できます。
5.BPOの運営形態
BPOの対象範囲を理解したら、運営形態も知っておきましょう。大きく「オンサイト型」と「オフサイト型」の2種類があり、「どこで業務を行うか」に違いがあります。
オンサイト型は、事業者が依頼企業に常駐して業務を行います。依頼企業が業務状況を把握しやすく、緊急時の対応や柔軟な対応が行いやすくなります。ただし、依頼企業は作業スペースやインフラ整備も用意しておく必要があります。
一方、オフサイト型は、事業者が依頼者のオフィスに常駐せず、外部で業務を行う運営形態です。
オフサイト型のメリットとしては、コールセンターのように業務を切り出して地方や海外に拠点を移すことで、人件費やインフラなどのコストを抑えることができます。
オンサイト型のように、緊急時の対応や柔軟な対応がしづらいですが、費用面ではオンサイト型の方がやすくなる傾向にあります。
6.BPOの契約形態は2つ
BPOはどのような契約形態で締結するのでしょうか。一般的に「業務委託契約」という表現で契約締結をすることが多いですが、法律上、業務委託契約という表現は存在しません。
BPOの場合、請負契約または準委任契約(または委任契約)になります。しっかりと契約を結ばないと情報漏洩などのリスクもありますので、契約形態をしっかり確認しましょう。
6-1.準委任契約(委任契約)
「準」という言葉のつかない「委任契約」も存在しますが、委任契約は法律に関わる業務で、準委任契約はそれ以外の業務に使われます。準委任契約は事業会社が「作業過程」に責任を負う契約で、作業中は善意の管理者として業務を行い、作業期間が終了すると、契約も終了します。
具体的には、コールセンター、システム運用、保守作業、コンサルタント業務は準委任契約で行います。
準委任契約の特徴としては、基本的に事務処理を正確にこなすことが目的で、期待した結果が得られなかったとしても報酬請求権があります。最終的な成果物には依頼者が責任を負うので注意が必要です。
準委任契約の場合、双方ともに途中で解約することができますが、相手方が不利になる場合は、損害賠償が発生する可能性もあります。
6-2.請負契約
請負契約は「仕事の達成」を目的とした契約になります。例えば、オフィス内装を行う場合は、事業者は報告義務がありの請負契約を締結します。内装業者が工事を行なったとしても工事が完了しない限り、契約は終了しません。
契約は、事業者から中途解約することはできませんが、依頼企業は事業者の損害を賠償すれば、いつでも解約することができます。
7.BPOサービス選定時のポイント
BPOの事業者は、ホームページ上で業務内容や得意分野を公開しています。その内容が、BPOを進めるにあたって、業務を通じて実現できそうなのか、自社の良きパートナーになりえるような事業者かどうか見極めることが大切です。
7-1.依頼する業務にどこまで対応してくれるか
事業者がどこまでの範囲で対応してくれるかについて事前に確認しましょう。例えば、海外とのやりとりや、土日や夜間の対応が発生する電話受付業務をどこまで対応してくれるかについては、確認する必要があります。
また、事業規模についても確認しておくと良いでしょう。今後の事業展開によってBPO化が進む可能性がある場合は、初めから多くの業務を引き受ける事業者を選ぶと良いでしょう。都度、BPO事業者を探すといった手間を省くことができます。
7-2.実績が十分か
受注した回数だけでなく、効果を得ることのできた実績に注目することで、事業者を正しく評価しましょう。
また、実績にも数は少なくても「提供している期間」によって品質に差が出ます。「数」か「期間」でどちらを重視するかは、業務の特性によって変わってきますので、確認を徹底しましょう。
他には事業規模での実績も見ると良いでしょう。大企業からスタートアップまでそれぞれ事業者の特徴も異なるためです。
7-3.セキュリティ対策が基準を満たしているか
情報漏洩などのセキュリティの観点も重要になってきます。委託する際は、重要な企業機密や個人情報をやり取りします。情報漏洩が発生した場合、被害者への慰謝料の支払いや損害賠償に対する訴訟費など金銭的な負担に加え、社会的信用も大きく傷ついてしまいます。
BPO事業者には、認証資格の取得状況、セキュリティ品質基準などを確認し、安心して委できるかを締結前に確認しましょう。
セキュリティ対策基準が高いかどうかの判断には、適切に個人情報を取り扱っていることを示す「プライバシーマーク」、情報セキュリティマネジメントシステム規格として規定される「ISO/IEC27001」「JIS Q 27001」などがあります。
8.まとめ:「BPO」に関するご相談を承ります
今回は、BPOの概要から具体的な対象業務、業者選びのポイントなどを紹介しました。
BPOは、基本的に業務の代行が中心になってくるため、仕組化まで行なっている企業は多くありません。仕組化まで行なうことで、品質を向上させつつも内製化を行なうことができるため、今ではバックオフィスの代行(アウトソーシング)だけでなく「仕組化」のニーズも高まりつつあります。
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